グロサリーは“作らない仕事”じゃない。“決めている仕事”だ― 売場の裏側で、誰が「売れる未来」を設計しているのか ―

「ただ出してるだけ」と言われた日
グロサリー部門で働いていると、
一度はこんな言葉を聞いたことがあるかもしれない。
「グロサリーって、商品出してるだけやんな?」
出してるだけちゃうわ!!!
怒りながらもその瞬間、胸の奥が少しだけ、ざらつく。
重たいケースを運び、
欠品を気にし、
値上げと戦い、
売れ残りと向き合いながら――
それでも売場を整えてきた自分の仕事が、
“ただ置いているだけ”に見えてしまう現実。
でも、ひとつだけ、はっきり言えることがある。
グロサリーは、商品を作っていない。
でも、“売れる未来”は、毎日作っている。
① グロサリーは「選ばせる仕事」だ
お客様は、売場に来た瞬間から、
すでに“選ばされている”。
目に入る商品。
通路の広さ。
目線の高さ。
端に追いやられた棚。
山積みされたケース。
これらは偶然じゃない。
誰かが決めた結果だ。
たとえば――
同じカップ麺でも、
- 目線の高さにある商品
- しゃがまないと見えない商品
この2つが、
同じ“売れ方”をすることは、ほぼない。
ここで起きているのは、陳列じゃない。
“選択肢の設計”だ。
グロサリーの仕事は、
「何を売るか」じゃなく、
「何を選ばせるか」を決める仕事でもある。
”こんな作業何事でもない”実はそれが売場設計につながっている していることの意味を再度見出すだけでも、自身はいろんなことができてる
② 値札は、ただの数字じゃない
値札を見るとき、
お客様は価格だけを見ているわけじゃない。
- 高いか、安いか
- 納得できるか
- なんとなく安心できるか
この“感情”を動かしているのが、
フォント、色、言葉の順番、数字の置き方。
たとえば、
「税込98円」と
「98円(税込)」。
たったこれだけで、
“安さの印象”は変わる。
値札は、
価格表じゃない。
“説得ツール”だ。
そして、その説得を設計しているのが、
グロサリーという仕事だ。
”人がすることへ人が反応する”これはどんなことでも一緒
③ 隣に誰を置くかで、運命が変わる
商品は、
ひとりで売られているわけじゃない。
カレーの隣に、福神漬けがある。
パスタの近くに、ソースがある。
お菓子の横に、季節企画がある。
これは親切じゃない。
“買い足しを生む構造”だ。
関連陳列とは、
「ついで買い」を作る技術であり、
売上を“足し算”から“掛け算”に変える仕組みでもある。
グロサリーは、
商品同士に“関係性”を作っている部門だ。
となりに何かを置くことでお客様に食卓をイメージさせる 僕らの仕事は今日も誰かの役に立っている
④ 売れ残りは、失敗じゃない
売れなかった商品を見ると、
心のどこかでこう思う。
「ミスったな……」
でも、本当は違う。
売れ残りは、
“答え”じゃなく、“データ”だ。
- 高すぎたのか
- 目に入らなかったのか
- 時期が早すぎたのか
- 隣が悪かったのか
この問いを回し続ける仕事こそ、
グロサリーの本質だ。
つまりここは、
売場という名の“実験室”。
毎日、
仮説を立てて、
並べて、
数字で殴られて、
また組み直す。
これを、
“ただ出してるだけ”と呼ぶのは、
あまりにも、雑すぎる。
結果が比較的すぐ出やすいのも見方を変えれば魅力
⑤ グロサリーは、店の“空気”を作っている
売場に入った瞬間、
なぜか安心する店。
なぜか不安になる店。
この違いを生んでいるのは、
山積みの量、
欠品の有無、
棚の整い方、
通路の広さ。
売場は、
無言でお客様に語りかけている。
「この店、大丈夫そうやな」
「なんか、ちゃんとしてるな」
この“感覚”を作っているのが、
グロサリーだ。
店の雰囲気は俺たちが背負ってる!!
🔍 トレーナー課題|今日の“設計”を探せ
今日、あなたが
“決めたこと”を3つ書き出してみてほしい。
- どの商品を目立たせたか
- どの商品を端に追いやったか
- どのPOPを残し、どれを外したか
それは全部、
売れる未来への“設計”だ。
おわりに|今日、あなたは何を“決めた”か
今日の売場を、少しだけ思い出してほしい。
どの商品を、目立たせたか。
どの商品を、棚の端に追いやったか。
どの値札を、残したか。
どのPOPを、外したか。
それはすべて、
売れる未来への“設計”だ。
グロサリーは、
商品を作らない。
でも――
選ばれる理由は、毎日作っている。
🌐 参考リンク
- 全国スーパーマーケット協会
https://www.super.or.jp/ - Diamond RM Online(小売・売場づくり実務)
https://diamond-rm.net/ - 日本経済新聞|小売・消費動向特集
https://www.nikkei.com/


