同じ商品、同じ価格、それでも違う結果

それは、配属初日の朝だった。

新品のエプロン。
まだ固い名札。
少しだけ緊張した足取りで、売場に立つ。

目の前には、
どの店にもある、いつもの商品たち。
カップ麺、レトルトカレー、調味料、スナック菓子。

先輩が、何気なく言った。

「これ、昨日の倍売れてるから、位置変えよか」

正直、意味がわからなかった。
同じ商品。
同じ値段。
同じパッケージ。

場所を変えただけで、倍?

そのとき、初めて気づく。
売場は、商品を並べる場所じゃない。
“結果を作る装置”なんだ、と。

① 売れる店は、“目線”を設計している

お客様は、
棚をじっくり見ているようで、
実は、ほとんど見ていない。

目線は、
上から下へ、
左から右へ、
Zの形で流れていく。

この線の上にある商品。
この線から外れた商品。

それだけで、
“存在する商品”と“存在しない商品”に分かれる。

売れる店は、
ここに“主役”を置く。
売れない店は、
たまたま置く。

違いは、努力じゃない。
設計だ。

お客様の視線の先に戦略的に置くと売れたとき自信につながる

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② ゴールデンゾーンは、売場の“特等席”

棚の中には、
誰もが気づかない“席順”がある。

  • しゃがまなくても見える高さ
  • 手を伸ばせば届く距離
  • 目に入る角度

ここは、
売場のゴールデンゾーン。

新人の頃は、
「とりあえず埋める」だけだった棚。

でも先輩は、
こう言った。

「売りたい商品は、ここに座らせるんや」

その瞬間、
棚が、
会議室みたいに見えた。

どこに誰を座らせるかで、
話の流れが変わる。
結果が変わる。

売場も、まったく同じだ。

あくまで自分視点ではなくお客様の目線に合わせよう

③ エンドは、店の“舞台装置”だ

通路の端。
曲がった瞬間、
正面に飛び込んでくる棚。

そこが、
エンド。

ここに置かれた商品は、
“選ばれる前提”で見られる。

売れる店は、
ここを“在庫処理”に使わない。
“物語の入口”に使う。

  • 季節のテーマ
  • イベントの導線
  • 今日のおすすめ

エンドは、
店が「今日はこれを見てほしい」と
無言で伝える場所だ。

このエンドがお店の雰囲気を決める重要な仕事だ!

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④ 売れない理由は、商品じゃない

ある日、
同じカレーが、
片方の棚だけ売れ残っていた。

価格は同じ。
味も同じ。
メーカーも同じ。

違ったのは、
隣にいた商品。

片方は、福神漬けの横。
もう片方は、調味料の端。

それだけで、
“料理のイメージ”が変わる。
“買う理由”が変わる。

商品は、
ひとりで勝負していない。

売場は、
チーム戦だ。

お客様に食卓を提案することができるのも私たちの強み!

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⑤ 構造が変わると、現場の空気が変わる

売れる売場は、
忙しい。

補充が追いつかない。
在庫が減る。
発注が増える。

売れない売場は、
静かだ。

商品は、きれいに並んでいる。
でも、
動いていない。

この違いを作っているのは、
努力量じゃない。

“配置の構造”だ。

🔍 トレーナー課題|今日の“特等席”は誰のものか

今日の売場で、
一番いい場所にいる商品を、ひとつ探してほしい。

そして、自分に問いかける。

それは、
売りたいから、そこにいる”のか。
それとも、
空いていたから、そこにいる”のか。

この違いに気づいた瞬間、
あなたはもう、
“出す人”じゃない。

“設計する人”だ。

おわりに|売場は、沈黙のプレゼンだ

売場は、何も喋らない。
でも、ずっと、語っている。

ここが主役だ。
これが今、買ってほしい。
これは、ついでに手に取ってほしい。

売れる店は、
この“無言のプレゼン”が、うまい。

そしてそれを、
毎日仕込んでいるのが、
グロサリーという仕事だ。

店員さんが常にいなくても、店が伝えたいことがお客様に届く           そんな理想を追求していこう!

🌐 参考リンク