第2話なぜ同じ商品でも、売れる店と売れない店があるのか― 配属初日、棚の前で立ち尽くした理由 ―

同じ商品、同じ価格、それでも違う結果
それは、配属初日の朝だった。
新品のエプロン。
まだ固い名札。
少しだけ緊張した足取りで、売場に立つ。
目の前には、
どの店にもある、いつもの商品たち。
カップ麺、レトルトカレー、調味料、スナック菓子。
先輩が、何気なく言った。
「これ、昨日の倍売れてるから、位置変えよか」
正直、意味がわからなかった。
同じ商品。
同じ値段。
同じパッケージ。
場所を変えただけで、倍?
そのとき、初めて気づく。
売場は、商品を並べる場所じゃない。
“結果を作る装置”なんだ、と。
① 売れる店は、“目線”を設計している
お客様は、
棚をじっくり見ているようで、
実は、ほとんど見ていない。
目線は、
上から下へ、
左から右へ、
Zの形で流れていく。
この線の上にある商品。
この線から外れた商品。
それだけで、
“存在する商品”と“存在しない商品”に分かれる。
売れる店は、
ここに“主役”を置く。
売れない店は、
たまたま置く。
違いは、努力じゃない。
設計だ。
お客様の視線の先に戦略的に置くと売れたとき自信につながる
② ゴールデンゾーンは、売場の“特等席”
棚の中には、
誰もが気づかない“席順”がある。
- しゃがまなくても見える高さ
- 手を伸ばせば届く距離
- 目に入る角度
ここは、
売場のゴールデンゾーン。
新人の頃は、
「とりあえず埋める」だけだった棚。
でも先輩は、
こう言った。
「売りたい商品は、ここに座らせるんや」
その瞬間、
棚が、
会議室みたいに見えた。
どこに誰を座らせるかで、
話の流れが変わる。
結果が変わる。
売場も、まったく同じだ。
あくまで自分視点ではなくお客様の目線に合わせよう
③ エンドは、店の“舞台装置”だ
通路の端。
曲がった瞬間、
正面に飛び込んでくる棚。
そこが、
エンド。
ここに置かれた商品は、
“選ばれる前提”で見られる。
売れる店は、
ここを“在庫処理”に使わない。
“物語の入口”に使う。
- 季節のテーマ
- イベントの導線
- 今日のおすすめ
エンドは、
店が「今日はこれを見てほしい」と
無言で伝える場所だ。
このエンドがお店の雰囲気を決める重要な仕事だ!
④ 売れない理由は、商品じゃない
ある日、
同じカレーが、
片方の棚だけ売れ残っていた。
価格は同じ。
味も同じ。
メーカーも同じ。
違ったのは、
隣にいた商品。
片方は、福神漬けの横。
もう片方は、調味料の端。
それだけで、
“料理のイメージ”が変わる。
“買う理由”が変わる。
商品は、
ひとりで勝負していない。
売場は、
チーム戦だ。
お客様に食卓を提案することができるのも私たちの強み!
⑤ 構造が変わると、現場の空気が変わる
売れる売場は、
忙しい。
補充が追いつかない。
在庫が減る。
発注が増える。
売れない売場は、
静かだ。
商品は、きれいに並んでいる。
でも、
動いていない。
この違いを作っているのは、
努力量じゃない。
“配置の構造”だ。
🔍 トレーナー課題|今日の“特等席”は誰のものか
今日の売場で、
一番いい場所にいる商品を、ひとつ探してほしい。
そして、自分に問いかける。
それは、
“売りたいから、そこにいる”のか。
それとも、
“空いていたから、そこにいる”のか。
この違いに気づいた瞬間、
あなたはもう、
“出す人”じゃない。
“設計する人”だ。
おわりに|売場は、沈黙のプレゼンだ
売場は、何も喋らない。
でも、ずっと、語っている。
ここが主役だ。
これが今、買ってほしい。
これは、ついでに手に取ってほしい。
売れる店は、
この“無言のプレゼン”が、うまい。
そしてそれを、
毎日仕込んでいるのが、
グロサリーという仕事だ。
店員さんが常にいなくても、店が伝えたいことがお客様に届く そんな理想を追求していこう!
🌐 参考リンク
- 全国スーパーマーケット協会
https://www.super.or.jp/ - Diamond RM Online(売場構造・販促実務)
https://diamond-rm.net/ - 日本チェーンストア協会
https://www.jcsa.gr.jp/
