第7章:年末の「導線とPOP」はこう作る ― 迷わせない売場が売上を最大化する ―

迷わせない売場が、年末の売上を決める
年末の売場づくりで、
最後に効いてくるのが「導線」と「POP」です。
どれだけ商品を揃えても、
どれだけ価格を頑張っても、
お客様が「迷う売場」になった瞬間、カゴの中身は減ります。
年末は、
✔ 家族連れ
✔ 時間に追われたお客様
✔ まとめ買い前提のお客様
が一気に増える特殊な時期です。
だからこそ、売場は“考えさせない設計”が正解になります。
① 入口 → 野菜 → 主通路 → 館内導線
年末の「黄金ルート」を作ります
年末の来店客の多くは、
「とりあえず全部揃えたい」という状態で入店します。
そのため、導線は次の流れを意識します。
- 入口:
年末感を一瞬で伝える
→ もち・そば・年末訴求POP - 野菜売場:
お雑煮・鍋・年末料理の起点
→ 関連する調味料・乾物への視線誘導 - 主通路:
まとめ買いゾーン
→ そば・つゆ・天ぷら粉・油・酒 - 館内導線:
「あ、これも要るな」を拾う
→ 菓子・飲料・乾物・保存食
この流れができると、
お客様のカゴは自然に重くなります。
買い忘れが起こらない売場はほんと助かるわ
② POPは「迷わせない」が正義
年末のPOPで一番やってはいけないのは、
情報を盛りすぎることです。
この時期のPOPは、
説明ではなく「決断の後押し」が役割になります。
おすすめは、
- 「年越しそばに」
- 「お雑煮用」
- 「家族5人分の目安」
- 「これがあれば安心」
といった、
“使い道が一瞬でわかる言葉”です。
価格よりも、
「何に使う商品か」が見えるPOPの方が、
年末は圧倒的に強くなります。
情報量が多いと「もう見たくない」ってなるんだよなぁ
③ “家族客”のカゴの動きを読むと売場が変わる
年末は、
家族単位での来店が増えます。
このときのカゴの特徴は、
- 1商品あたりの数量が増える
- 関連商品を一緒に入れる
- 「失敗したくない」心理が強い
という点です。
だから売場では、
- 単品勝負より「セット感」
- 選ばせるより「これでOK」を提示
- 迷わせる棚割より「用途別ブロック」
を意識します。
家族客は“安心できる売場”でよく買います。
④ Z型視線理論 × ハロー効果を年末仕様で使います
人の視線は、
左上 → 右下に流れる「Z型」が基本です。
年末売場では、
- 左上:主役商品(そば・もち)
- 中央:関連商品(つゆ・だし・具材)
- 右下:追加提案(天ぷら粉・油・酒)
という配置が非常に効きます。
さらに、
売れ筋商品を中心に置くことで、
周囲の商品まで良く見える
ハロー効果も同時に発動します。
これは、
「高い商品を置く」ではなく、
“安心されている商品”を中心に置くのがコツです。
⑤ 年末は「価格POP」より「用途POP」が勝つ
年末は、
値段を比べる来店ではありません。
- 必要なものを
- 失敗せずに
- まとめて買う
これが目的です。
そのため、
「○円安い」より
「これが必要」が伝わる方が売れます。
用途POPの例:
- 「この3点で年越しそば完成」
- 「お雑煮に必要なものはこちら」
- 「年末に切らせない基本調味料」
年末は“売る”より“助ける”POPが結果を出します。
商品の「いわれ」を伝えると効果的かな!
まとめ:年末の導線とPOPは「優しさ」
第7章のポイントは、
とてもシンプルです。
- 導線は「考えなくていい流れ」を作る
- POPは「迷わせない言葉」にする
- 家族客の不安を先回りで消す
- 視線と心理をセットで使う
- 価格より用途を伝える
年末の売場は、
やさしい売場が一番強いのです。
📚 参考データ・資料(読みやすい位置にまとめました)
- 全国スーパーマーケット協会
「スーパーマーケット景気動向調査(12月度)」
https://www.super.or.jp/?page_id=2646 - KSP-POS分析
「日次データで見る年末年始の食品購入動向」
https://www.ksp-sp.com/opencts/ - Diamond RM Online
「年末商戦における売場づくり・導線設計」
https://diamond-rm.net/


