
― 人の脳が「整って見える」瞬間をデザインする ―
売場の棚を見て、
「なんかごちゃごちゃしてるな」
「この棚、きれいで見やすいな」
そう感じたこと、あると思います。
その“なんとなくの印象”、実は心理の法則で説明できるんです。
それが今回のテーマ――ゲシュタルト原則(Gestalt Principles)。
🧠 「整って見える」には理由がある
人間の脳は、常に秩序を求めるようにできています。
たとえば商品が整列している棚を見ると、無意識に
「この店は管理が行き届いている」
「なんか信頼できそう」
と感じる。
逆に、バラつきのある棚を見ると
「探しにくい」「落ち着かない」
という印象が生まれます。
なんかごちゃごちゃしてると、賞味期限とか 管理されているか不安になるんだよね
つまり――
見た目の“整い”は、お客様の信頼と購買意欲に直結している。
🔗 関連:見やすさを生む「認知負荷理論」
前回の記事
👉 「見せ方の科学②:認知負荷理論で“見やすい棚”を作る」
では、「お客様が“考えなくて済む”棚づくり」がテーマでした。
今回のゲシュタルト原則は、その“次のステップ”。
単に見やすいだけでなく、**「統一感で伝える」**設計です。
🧩 ゲシュタルト原則とは?
ゲシュタルトとはドイツ語で「形」「全体」を意味します。
人は、要素をバラバラにではなく“ひとまとまり”として理解する生き物。
この「まとまり」を感じる心理的ルールがゲシュタルト原則です。
例えるなら――
点が3つ並ぶと「三角形」に見えたり、
似た色が続くと「グループ」に見えたり。
つまり、脳は“勝手に秩序を見つけようとする”んです。
星がならんでいると〇〇座かなと思うのがそうだね!
🏪 売場で起こる「まとまり認知」
スーパーの棚を例にすると:
- 同じ色のパッケージが並ぶと「シリーズ感」が出る
- POPのフォント・サイズを揃えると「統一感」が出る
- ラベルの方向を整えると「丁寧な印象」になる
それは、視覚的な整いを脳が「ひとつの世界観」として処理しているから。
この“見せ方の整合性”が、購買心理を左右するんです。
💡 売場に活かせる5つのゲシュタルト法則
| 法則名 | 意味 | 売場での使い方 |
|---|---|---|
| ① 近接の法則 | 近くにあるものを「同じグループ」と認識する | 類似商品を近くに配置/テーマ棚をまとめる |
| ② 類同の法則 | 色・形・大きさが似ているものをまとめて認識 | パッケージトーン・POPデザインを揃える |
| ③ 連続の法則 | 視線が自然に流れる方向を“つながり”として感じる | ライン配置・サイズの流れで自然誘導 |
| ④ 閉合の法則 | 不完全でも脳が“補って”全体を認識する | 商品抜け部分にもPOPや区切りで形を残す |
| ⑤ 共通運命の法則 | 動き・向きが同じものをひとまとまりと感じる | 商品ラベル・フェイス角度を統一 |
🧭 売場デザインへの応用
🎨 1. 統一感が生む「信頼」
人は“整っている”ものに「誠実さ・品質」を感じます。
これは心理学でも証明されている現象。
統一された棚=「ちゃんとしてる店」
特に食品や日用品など、“生活に直結する商品”ほど信頼の印象は購買に影響します。
💬 例:
清涼飲料棚で、ボトルの高さ・向き・ラベルのラインが揃っていると、
「なんか気持ちいい」→「この棚から選びたい」に変わる。
意識はしてなかったけど、揃っていると自然に足がそこへ向いてるかも
⚠️ 2. 乱れた棚が生む「不安」
一方、バラバラな棚は脳が“秩序を見つけられない”状態。
すると人は無意識にストレスを感じます。
「なんか落ち着かない」=“不信”の始まり。
同じ商品でも、陳列のズレやPOPの乱立で“安っぽく見える”こともある。
ゲシュタルト原則を守るだけで、商品が本来持つ価値を正しく伝えられる。
🧮 ゲシュタルト棚づくり 3ステップ実践
① 整理 → 「グループで見せる」
テーマ・ブランド・色味ごとにグルーピング。
棚の中に「小さな世界」をつくる意識。
→ 例:お茶コーナーなら“緑茶ゾーン/麦茶ゾーン/健康茶ゾーン”
② 揃える → 「ルールをつくる」
ラベル・価格札・POP位置の高さを一定に。
フェイス方向をそろえると、視線が流れる。
③ 余白をつくる → 「情報を休ませる」
すべてを埋めない。7〜8割埋め、2割は空気を残す。
→ その空間が「整っている」と感じさせる“呼吸”になる。
あえて余白を作るってこと??

たしかに余白あったほうが見やすい時もあるのか!
📊 図解:ごちゃごちゃ棚 vs 統一棚

- 左:パッケージ色が乱れ、POPが多く視線が迷う
- 右:色調がそろい、間隔と高さが統一され、清潔感がある
「ゲシュタルト効果=信頼感×安心感」
🧩 現場の実例
🧃 ドリンク棚の整列実験
棚の色味を「ブランド別」から「色調別」に並べ替えた結果、
“視覚的統一感”が上がり、立ち止まり率が 1.5倍 に上昇。
💬 お客様のコメント
「どこに何があるかすぐ分かる」
「スッキリしてて選びやすい」
→ “見やすさ”は“買いやすさ”を生むという心理法則がそのまま現場で再現された結果です。
✍️ 実践POPアイデア
| 目的 | POP例 | 配置ポイント |
|---|---|---|
| 統一訴求 | 「シリーズで揃える人、増えてます」 | バーチカル棚の上部中央 |
| 安心訴求 | 「同じラインで選べば間違いなし」 | 類同グループの境目 |
| 信頼訴求 | 「この棚ぜんぶが“うちの定番”です」 | エンド展開で横ライン中央 |
POPのデザインもゲシュタルト原則に沿って「色・フォント・余白」をそろえると効果倍増。
💬 まとめ:「まとまりは、売場の言語」
ゲシュタルト原則は“きれいに見せる技”ではなく、伝わる仕組み。
統一された棚は、お客様に「このお店、安心できる」と語りかけている。
整って見える=信頼できる
信頼できる=選ばれる
それが、“売れる棚”の本質。
🔗 参考リンク集
- エトワール海渡「店舗ディスプレイのコツをイラストや実例交えて徹底解説」:店舗ディスプレイの基本原則に「余白」が明記されてる。 etoile.co.jp
- Luminous‑Club「商品をおしゃれに見せる店舗ディスプレイのコツと什器の選び方」:陳列量で“余白を調整する”という節あり。 ルミナスクラブショップ
- Safie「小売店のレイアウトのポイントは?ディスプレイや動線の重要性」:適度な“ゆとり=余白”が見やすさ&統一感につながると解説。 セーフィー株式会社
- 斎藤ディスプレイ研究所「製品間の余白が消費者の陳列への態度に与える影響」:学術系資料で、余白と認知(判断速度・選択)との関係を実証。 JPM
🪄 次回予告:見せ方の科学④
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