グロサリー入門

🏷️ 「とりあえず貼る」が赤字を呼ぶ!? 値下げ作業の本当のコツ

値下げ作業――。
グロサリー担当になったばかりの人にとっては、「期限が近い商品に赤札を貼るだけ」と思われがちな仕事かもしれません。
でも実際は、「どの商品を、どのタイミングで、どれくらい下げるか」で売上も利益も大きく変わる、奥の深い作業です。

■値下げは処分ではなく“戦略”

―「貼るだけ」で終わらせない、考える値下げ作業 ―

「値下げ」という言葉を聞くと、つい“処分”や“もったいない”と感じる人も多いかもしれません。
しかし、現場をよく観察してみると、値下げは単なる「損」ではなく、“売り切るための戦略”であることがわかります。
実際、国内外の研究でも値引きのタイミングや幅によって収益が最大17%改善するとの報告があります(スーパーマーケットにおける生鮮食品の最適値引き戦略/J-STAGE)。

商品の回転を高め、廃棄を減らし、売場全体の印象を保つ。
この3つを同時に成立させるための“最終演出”こそ、値下げ作業の本質です。

■ 値下げ作業は「売場を整える最終調整」

グロサリー担当になったばかりの頃は、「期限が近い商品に赤札を貼るだけ」と思われがち。
でも、実際はもっと深い。
「どの商品を、どのタイミングで、どれくらい下げるか」によって、売上も利益も大きく変わるのです。

たとえば――
同じ30%OFFでも、商品によって意味はまったく違います。
“早く下げるべき商品”と“あえて待つ商品”を見極めることが、プロの分かれ道になります。


■ 商品特性で変わる!値下げ幅の考え方

▶ ヨーグルト・豆腐など日配品

賞味期限が短く、販売チャンスも1〜2日ほど。
在庫が多ければ、思い切って早めの20〜30%値下げで売り切りを狙います。
逆に残り1〜2個だけなら、あえて下げずに“最後の1個効果”で売れることも。

▶ 缶詰・レトルトなど保存系

長期保存がきくため、基本的に値下げ不要。
むしろ安売りが常態化すると、「安い時しか売れない棚」になりやすい。
値下げせず、フェイスや陳列位置を工夫して動かすのがコツ。

▶ 菓子・パンなど嗜好系

天気や曜日、時間帯によって動きが変わりやすいカテゴリー。
午後の動きを見て、夕方に「30%引き」でリズムをつけると◎。
“時間で値下げ”することで、ムダな廃棄を防ぎながら売上を確保できます。


■ 時間が決まっていてもできる!“商品特性別”値下げ戦略

多くの店舗では、値下げの時間が「10時」「15時」などとあらかじめ決まっていることが多いですよね。
タイミングを動かせない場合でも、“商品特性で値下げ幅を変える”ことで、結果は大きく変わります。


🕙 10時の1回目:朝の“様子見値下げ”タイム

午前中はお客様の動きがまだ穏やか。
ここでは「動き出しのきっかけ」を作る意識で、控えめな値下げを。

商品カテゴリ特徴推奨値下げ幅コメント
ヨーグルト・豆腐・納豆など日配品消費期限が短く、午前の客層で動きやすい。30%OFF在庫が多ければ思い切って。午前の販売チャンスを逃さない。
パン類午後に動く商品。10%OFF“存在感”を出す程度。まだ深追いはしない。
ケーキ・デザートなど嗜好品夕方〜夜がピーク。値下げ不要この時間帯はあえて貼らずに温存。
カット野菜・惣菜連動系昼食需要に左右される。20%OFF弁当・惣菜との連動を意識して軽めに。

🕒 15時の2回目:勝負をかける“売り切り値下げ”タイム

午後はピーク前の重要タイミング。
ここでの判断が「売り切るか」「残すか」を左右します。

商品カテゴリ特徴推奨値下げ幅コメント
ヨーグルト・豆腐・日配品当日・翌日消費が中心。50%OFF午後まで残っている時点で“売り切りモード”。思い切って半額処理。
パン類午後〜夕方に動く。30〜40%OFF在庫量に応じて判断。勢いをつけて一気に動かす。
ケーキ・デザート夕食後の嗜好需要。20%OFF軽めの調整で十分。夜まで粘る。
カット野菜・サラダ系夜の献立需要が中心。30%OFF翌日に回さず、このタイミングで勝負。

のような時間ごとの値下げ調整は、食品ロス削減にも直結します。
実際に、消費者庁の食品ロス削減事例集でも、
“適切なタイミングでの値下げ”が廃棄削減に有効であると紹介されています。

📍ポイント:
「残しても翌日売れないもの」から優先的に下げる。
値下げ時間が固定されていても、“どの商品をどう下げるか”の判断でプロの差が出る。


■ よくある失敗:値下げしすぎの悪循環

つい「残ってたから全部下げた」…そんな日もあるかもしれません。
でも値下げを繰り返すと、棚全体が“処分感”でいっぱいになり、
お客様は定価の商品まで「高く見える」ようになります。

つまり、安くしても売れなくなるという逆効果。
値下げは「最後の手段」であって、「日常業務」ではないんです。


■ 今日からできるチェックポイント

値下げを“戦略”として考えるなら、以下の4つを毎回意識してみてください。

  1. 賞味期限:残り日数と在庫バランスをチェック
  2. 在庫数:多いか少ないかで下げ幅を調整
  3. 天候・曜日:動きやすい日なら待つのもアリ
  4. 棚の見た目:赤札が多すぎないか確認

■ まとめ:値下げも売場づくりの一部

値下げ作業は「貼る仕事」ではなく、「考える仕事」。
商品特性やタイミングを読みながら、売場を最適な状態に整える作業です。

上手な値下げは、お客様にとってもお店にとってもプラスになる。
明日の値下げ、ちょっとだけ“戦略的”に考えてみませんか?

✅ 参考リンク

  • スーパーマーケットにおける生鮮食品の最適値引き戦略に関する研究:生鮮食品のPOSデータを用いて「値引き開始時刻」「割引率」が販売収益と廃棄率にどう影響するかを分析。収益改善効果も数値(約17.4%)で示されてる。 J-STAGE+1
  • 小売業の価格政策とプロモーション戦略:食品スーパーでの価格・プロモーション戦略を広く扱っており、値下げや価格訴求の限界・変化にも言及。 J-STAGE
  • 令和5年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る調査報告書:小売・流通の仕組みから値引き・マークダウン・廃棄まで俯瞰的に整理されてる報告書。値下げ・在庫過多・廃棄の関係も触れられてる。 経済産業省
  • 食品ロス削減の取組事例集:値下げ(マークダウン)を含む、小売業での食品ロス対策の現場事例が多数掲載。売場での“てまえどり”や値下げシール活用も。 内閣府防災情報のページ