第4話売れ残りは、失敗じゃない。“次の設計図”だ― 値下げ棚の前で、売場が未来を語り始めた日 ―

誰も立ち止まらない棚
閉店1時間前。
通路の端に、ひっそりと置かれたワゴン。
赤いシール。
少し曲がった値札。
積まれたままの在庫。
そこは、
“敗北の棚”と呼ばれていた。
新人の頃、
そこに商品を運ぶたび、
胸のどこかが、少しだけ沈んだ。
「売れなかったもの、集めといて」
その言葉は、
まるで、
仕事そのものを片付けられているみたいだった。
① 値下げ棚は、“結果”じゃない。“記録”だ
売れ残りを見ると、
人は、すぐに答えを出したがる。
- 高すぎた
- タイミングが悪かった
- 商品力がなかった
でも、本当は違う。
そこにあるのは、
“失敗”じゃなく、“履歴”だ。
この価格で、
この場所で、
この言葉で、
このタイミングで――
売場が選んだ“仮説”の記録。
値下げ棚は、
売場の“ログブック”だ。
発注量、展開場所、時期など記録していこう
② ロスは、数字じゃなく“質問”だ
廃棄率。
値下げ率。
在庫回転。
どれも大事だ。
でも、それは、
答えじゃない。
本当に大事なのは、
その数字が投げかけてくる、
“問い”のほうだ。
- なぜ、この棚で止まったのか
- なぜ、この曜日で止まったのか
- なぜ、この隣で、手が伸びなかったのか
ロスとは、
売場からの、質問状だ。
「なぜ?」と疑問に持つことが大切だ!
③ “下げる”のは、価格だけでいい
値下げをすると、
気持ちまで下がることがある。
「もう、どうでもいいか……」
その瞬間、
売場は、
本当に負ける。
売れる値下げ棚は、
投げやりじゃない。
- 理由が書いてある
- 使い道が書いてある
- 今日中であることが、伝わっている
価格は下げる。
でも、意味は、下げない。
商品の価値を下げないことが大事!
④ “負け棚”を“作戦会議室”に変える
ある日、先輩が言った。
「ここ、反省会場ちゃう。作戦会議室や」
値下げ棚の前で、
メモを取り始める。
- 止まった商品
- 止まった時間
- 止まった場所
そこに、
“次”の売場の、
設計図が生まれる。
売れなかった棚は、
次に売れる棚の“下書き”だ。
⑤ ロスが教えてくれる、売場の“クセ”
店には、
それぞれ“クセ”がある。
- 朝に強い店
- 夕方に強い店
- ファミリーが多い店
- 単身が多い店
ロスは、
その“性格”を、
一番正直に映す。
売れ残りは、店の鏡だ。
住んでいる人々によって対応はもちろん違う
🔍 トレーナー課題|今日の“質問”を拾え
今日、
値下げ棚にある商品を、ひとつ選んでほしい。
そして、自分に聞く。
なぜ、ここまで来た?
価格じゃなく、
場所でもなく、
“理由”を考えてみる。
それが、
明日の売場を、
少しだけ、強くする。
おわりに|売場は、負けから進化する
売場は、
完璧にならない。
だから、面白い。
失敗する。残る。下げる。考える。変える。
このループが、売場を、
“強い場所”に育てていく。
値下げ棚は、終点じゃない。
次の売上の、出発点だ。
🌐 参考リンク
- 全国スーパーマーケット協会
https://www.super.or.jp/ - Diamond RM Online(ロス・在庫管理実務)
https://diamond-rm.net/ - 日本チェーンストア協会
https://www.jcsa.gr.jp/

